分かりやすい相続法改正・遺留分算定方法の見直しについて
大阪府八尾市の植田司法書士事務所です。
この記事では2019年に施行された相続法改正について分かりやすく説明しております。
分かりやすさを第一に記事を書いていますので、詳細なことについて知りたい方は、他のサイトを見ていただいたり、専門家に相談することをおすすめ致します。
改正前の内容
遺留分の減殺対象となる贈与財産の範囲には、相続開始時の財産のほか、一定の生前贈与の財産が含まれます。
この生前贈与された財産の範囲は、受贈者が相続人以外の場合は相続開始前1年間の贈与に
限定されますが、相続人への贈与には期間の限定はなく、すべての贈与された財産が対象になる
こととされていました。
相続開始より何十年も前に贈与されていた財産についても、遺留分減殺請求の対象となり、遺留分権利者に取り戻される事態もありえましたので、受贈者にとって不安定な権利状態となる問題がありました。
改正後の内容
改正後は、この侵害額の計算の際に算入される贈与について、相続人に対するものは相続開始前10 年間の贈与かつ特別受益にあたる贈与に限定することとされました(民法1044 条3 項)。
算入される生前贈与の期間や内容を改正前より限定することとされました。
(特別受益については、「特別受益について」の記事をご覧下さい。)
ただし、当事者双方が遺留分を侵害することを知りながらした贈与は、改正前と同じく、す
べての期間のものが算入されることになります(民法1044 条1 項)。
相続人は被相続人の財産状況を把握しやすい状況にあるため、遺留分を侵害することを知りながらした贈与にあたる可能性は高くなると思われます。改正後についても遺留分の侵害については注意する必要があります。